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前野氏 新作に取り掛かりました!

永遠の特撮BOY 仙台の前野健一氏が久方ぶりに新作の製作発表を行いました。


「ドラゴン・スプライサー/Dragon Splicer
      ~竜を接(つ)ぐ者~ 」!!!
 実写特撮作品になりまーーす!


…あ、明るい。この突き抜けるような明るさも前野氏の特徴ですね。
ヒロイン役が決まってから、作品の企画が決定したそうです。

前野健一氏は仙台で火星の庭という古書店&オーガニックのお店を奥様と営まれている方ですが
その映像作品はしばしばテレビにも取り上げられており…なんていうか独特な世界が癖になるお方です。

仙台に行って実際にお会いしましたが、本当に良いお人柄でした。
また奥さんが美人で、更に可愛いお嬢さんも居て、店内はほんわりした雰囲気でした。

(火星の庭は古書店ですが、独自のイベントを開催したりと精力的に活動されている書店です。)

新作完成、楽しみだなぁ。
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by denjiroo | 2010-07-31 17:40 | 特撮  

電車でD オープニング動画



複線ドリフトの元ネタ、電車でD ゲーム版オープニングが公開されていたので。
なんだろうか、この技術力を無駄に使ってる感じ。最高に馬鹿馬鹿しくていいなぁ。
同人誌の方も、どこかで読んだ記憶があるんだけど。
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by denjiroo | 2010-07-31 14:53 | 映像  

惑星 デジャブ 6

レオタードの女は決めポーズを何通りか披露した後、手を差し出しながら山際の方に近づいてきた。
「大丈夫?怪我はありませんか?」
ここでまたアイツの想定外の行動を取ると、このレオタードの女も暴走する可能性が高い。
だが、なし崩し的にイベントに参加するのは納得がいかなかった。
とりあえず相手の出方を見るしかないが、エネルギーが枯渇する可能性を考えるとそうのんびりと付き合ってもいられない。

「…どうも。中州玄界灘重工の山際です。」
山際は何を思ったのか、名刺入れから名刺を取り出したが、レオタードの女も律儀に名刺を出してきた。
腰に巻いているベルトのバックル部分が名刺入れになっているようだ。ケース部分が着脱式で、名刺を乗せる台替わりとしても使えるようだ。
名刺交換も手馴れた様子で、山際は少々面食らった。
「正義の味方のフリをした敵のスパイという設定じゃなかったのか?これじゃまるでお得意先を回っている営業マンのようだ。」
「この度はお世話になります。わたくし、秘密結社”悪の友”田中星系支部長のエスメラルダです。」
「え…えーと…こんなにアッサリと正体をばらして大丈夫なんですか?それとも今回はそういう趣向なんでしょうか。」
「まず、これは最初にお断りしておきますが、私は何時ものようなアンドロイドではありません。生身の人間です。」
「はぁ…生身なのに光線を出さないといけないんですか。お疲れさまです。」
「いえいえ。あの光線は、手から出したと見せかけて、実はあそこから…」と女は反対側の建物を指差した。
そこには、発射装置を構えた黒子が手を振っていた。
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by denjiroo | 2010-07-31 10:16 | 製作  

ちょっと休憩…馬鹿すぎる動画



脱線だって!
元ネタは同人作品の「電車でD」というのかららしい。
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by denjiroo | 2010-07-30 09:37 | 馬鹿  

惑星 デジャブ 5

そんな状況にもかかわらず、なぜか山際は微動だにしなかった。
更に、通りには山際以外の人間も大勢いるのだが、だれもそれを止めようとしない。
いや、むしろ避けているようにさえ見える。

「おねがーい!だれか止めてー!!」
悲痛な叫びを上げながら”少女のような物”はいよいよ迫ってきた。
乳母車からは赤ん坊の泣き声が聞こえる。

5m…4m…3・2・1 
暴走乳母車があと30cmというところまで近づいた瞬間…

山際が消えた。

乳母車は道路脇の屋台にぶつかるとそのまま停止した。中からは泣き声が単調に繰り返されている。
”少女のような物”は目標を見失ったといわんばかりに首を回して対象物を探していた。
「ドコダ!?ドコニイル?」
迅速に対象物を見つけるべく、首は360度回ってしまっていたが、少女のようなものにとってはそれは仕様かもしれなかった。

山際は建物の二階のベランダから、鉤付きワイヤーでぶら下がっていた。
「まさか、誕生日プレゼントにもらったこんなおもちゃが役に立つとはね」
「オノレ、山際、ソコニイタカ、助けていただいてどうもありがとう、ナゼソンナトコロニイル?このお礼は忘れません、ゼッタイ、大したお礼もできませんが、カクナルウエハ、家でお茶でも、…」
”少女のような物”は予想外の出来事に混乱しているようだ。
「ちょっとこれはまずいかな…?」山際はそう呟くと、身構えた。
少女の形をした物の全身から小型ミサイルがいくつも飛び出し、山際に向かって突っ込んできた。
「プログラム通りなら当たらないはずなんだが、混乱しているとなるとまずいかもしれない。」
山際は、だったら相手にしてやったほうがまだ良かったかもしれないと後悔しはじめていた。

ミサイルが山際に直撃せんとするまさにその時、まばゆい光が辺りを包んだ。
「大丈夫?怪我はない?」全身を赤と青のレオタードに包んだ、ブロンドのロングヘアーの女性が手から光線をだしてミサイルを防いでいた。

「あぁ、そうきたか…。」山際は助かったというよりも、うんざりという気分でその顔を暗くした。
が、とりあえずミサイルの危機は去ったようである。
爆発の煙にまぎれてはいたが、暴走した少女のような物を乳母車に積んで、黒づくめの一団がこっそり回収しているのが見えたからだ。
とりあえず、ワイヤーを伸ばして下に降りた。
その途中、建物の陰に、トーストを咥えてクラウチングスタイルをとっているセーラー服の女子高生のような物が見えて、更に気分がブルーになったが、
ポケットの中にたまたま有ったインクの瓶をトーストに思い切りぶつける事で回避した。
「ああーん。あたしのパンがぁー」という悲痛な叫びが聞こえたような気がするが、山際は気にしない事にした。
インクの瓶は惑星エメラルドの骨董屋で見つけたもので、20世紀の遺物としてコレクションに加えようと思っていたのだが、この際仕方がない。
山際は地上に降りた後、女子高生のいた場所に行ってみたが、空になったインクの瓶と、青く染まったトーストだけが道路に置き去りにされていただけだった。

レオタードの女は、まだポーズを取っている。
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by denjiroo | 2010-07-29 18:35 | 製作  

惑星 デジャブ 4

その穴は、丁度、螺旋階段のような形状だった。
「山際さん。ちょっと眼をつぶっててくれ。俺がいいというまで開けるんじゃねぇぞ。」
そう言うとミナミはメインエンジンを切り、魚群探知機の表示モードを3Dに切り替えた。
眼を閉じるとかえって他の感覚が鋭敏になるのか、小刻みな振動が山際の体内まで響いてくる。
宇宙空間では音が伝わらないが、おそらくミナミはサブエンジンを何度も起動したり停止させたり、あるいは逆噴射させることで少しずつ回転させながら進んでいるのだろう。
演歌は既に止まっていた。ただ、計器類が時折立てるビープ音だけが船内に響いていた。

どれくらいの時間が経ったのだろう。
「もう眼を開けてもいいぜ。それからすぐに着陸態勢に入ってくれ。」
眼を開けると眼下には雲に覆われた第四惑星の姿が迫っていた。あと少しで重力圏内にはいるかというギリギリのラインのようだ。
「…上下感覚のない宇宙空間だが、あれだけ大きな目標物が目の前にあれば、回転を意識しちまうからな。」
俺はなれてるけどよ、と付け加えると、ミナミは宇宙服用ヘルメットをかぶり、操縦を着陸用モードに切り替えた。
「着地点はどこにする?赤道付近で一番適当なのはアカバネ諸島の辺りだが。」
「お任せします」監視されてる以上、何処に着陸しても同じだ。
「よし来た。まかせろ!」

やがて強烈なGが襲ってきた。



「狭い~地球に未練はないがぁ~ お乳~欲しがるこの子は可愛い~♪」
上機嫌なミナミの歌に合わせるかのように、船体は揺られながら波間を進んでいた。
「ミナミさん、いつもながらの見事な着陸でした。それでは”イベント”が終わり次第まだご連絡いたします。確か、上空で待機されるとの事でしたが…」
「いや。気が変わった。今回は俺も上陸する。」
「しかし、体の方は大丈夫なのですか?」
「重力の事か。最近体が鈍っちまってよぉ。ちょっと地表に降りると体が重くってしょうがねぇ。ステーションにも疑似重力はあるが、やはり本物にはかなわねぇ。リハビリついでに、女房への土産でも探してその辺をうろついてるぜ。」
「…わかりました。それでは、なるべく私とは接触しないよう、お気をつけください。狙いは私だけなのですから。」
「おぅ。だが、必要となったらいつでも呼んでくれ。」
「ありがとうございます。」
アカバネ諸島の中心、アカバネ島の港街でミナミと別れると、山際はそのまま島の繁華街へ向かった。
そして、繁華街の中ほどの道端で立ち止まった。
惑星周辺が異常事態になっている割に、人々は落ち着いた様子で、普段通りの生活をしているようだった。
その雑踏の中で、山際は身動きもせず立ち続けた。
そして30分後。
暴走する乳母車と、「だれか止めてー!」と叫びながらそれを追いかける髪の長い少女の形をしたものが現れた。
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by denjiroo | 2010-07-28 11:43 | 製作  

惑星 デジャブ 3

ミナミは「福良丸」の「魚群探知機」に山際から渡された空間データを転送した。もちろん、宇宙空間で漁をするのではない。
「魚群探知機」は空間のゆがみを測定するマシンである。船乗り達は自然に発生している微妙な空間のゆがみを利用して小型宇宙船を操るのを得意としていた。
そのマシンが何故そんな名前で呼ばれているのかは諸説あるが、大方の一致している意見は「漁船についている装置だから」である。
小型の宇宙船は通称「漁船」と呼ばれていた。おそらく初期に開発したのが漁船メーカーだったからだろう。
ちなみに、この会社は惑星表面開発用のマシンも製造している。そちらの愛称は「さなえ」だそうだ。


データの転送が終わった。
「良し!OKだ。山際さん、いつでも行けますぜ。」
「よろしくお願いいたします。費用はいつも通り、後で社の方に明細をお願いしますね。」

「福良丸」は、第五惑星の紺碧の海から二人を乗せて飛び立った。
別に海からでなくても発進できるのだが、海から発進するのがミナミのお気に入りだった。ポートからだと管制官の指令が一々わずらわしいのだという。

大気圏外にでて重力から解き放たれた船は、宇宙線の風を受けながら順調に第四惑星へと向っていた。
船内にはミナミのお気に入りの曲「おいら宇宙の兄弟船」が流れている。
「おいら~宇宙の~兄弟船はぁ~♪ 俺と兄貴のよぉ~♪…っとくらぁ」

上機嫌のミナミを尻目に、山際は暗澹たる気持ちを隠せないまま、本社から届いたデータを読んでいた。
「田中星系 第四惑星 エネルギー消費量の異常な上昇…か」
やはり、無茶なやり方で無理矢理空間を曲げているのは明らかだった。早く止めないと第四惑星をコントロールしているシステムが停止してしまう可能性がある。そうすれば、第四惑星は、乾いた砂だらけの惑星へと変貌するだろう。
「ミナミさん。穴は見つかりましたか?」
「いや。まだだ。」
「そうですか…やはり一筋縄ではいかないという事ですか。」
「それは、もしかして、穴は無いかもしれないって事かい?」
「…いえ、穴は必ずあるでしょう。完璧なシールドを作ってしまったら、意味がなくなりますからね。」
「…気持ちがわかるって事か?」
「いえ…これまでアイツが起こした数々の事件から導き出した経験則です。」
「あんたも大変だなぁ」ミナミは同情するような眼で山際を見た。
「ただのシステム管理者だったはずなのですが」
…そう。今回も単なる定期メンテナンスの為の出張だったのに。


空間を曲げて一方と他方をくっつけるという考え方のワープ航法は、そのためには膨大なエネルギーを必要とすることで、その可能性を否定された。
第二次移住計画と同時に施行された「宇宙開発法」でも空間をいじることは違法とされている。

山際はこれから起きるであろう事態を考えていた。
「空間異常が故意に引き起こされているという情報は、既に管理局にも伝わっているだろう。
管理局の船が到着するまでに五日間。アイツはそこまで計算済みだろう。
そして、そろそろ通信も来るはずだ。いつも通り。」

予想通り、メインモニターの映像が勝手に切り替わり、赤と黒で彩られている奇妙な被り物をした人物がモニターに映し出された。
「うわははは。残念だったな、中洲玄界灘重工の手先よ。あと24時間でこの星のシステムはダウンし、美しい砂の世界となるのだ。わがシールドは何者にも破ることは出来ん!」
山際はため息をついた「はいはい。わかりましたよ。管理局が到着する前に俺を倒してみろっていうんでしょ?」
「ええぃ、つまらん!これでもくら…」
ブチッ!
決め台詞が終わらないうちに、手元のリモコンでモニターを強制終了させた山際は、ショックに備えるため、急いで防護服を着け、体を固定した。固定し終わると同時に、船体が大きく揺れた。
衝撃波が漁船に向って飛んできたのだ。
だが、予想通り、わずかに船体をかすめるギリギリの位置に向けられていた。
ミナミは手馴れた様子で一応損傷等を確認し、そして、相変わらず、何一つ欠けていない事に感嘆した。
「毎度の事ながら、見事なもんだ。じゃ、お決まりの衝撃波も来たし、そろそろですかね?」
「そろそろですね」山際も続けた。
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、大きな穴を魚群探知機が発見した。
「しびれを切らして、開けたらしい。相変わらず短気だ。」
「だが、普通の船じゃこれは抜けられねぇ。少しは腕の見せ場を作ってくれたって事か。」
「…くだらないが、そういうことだろうな」







 
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by denjiroo | 2010-07-27 16:28 | 製作  

惑星 デジャブ 2

田中星系の惑星間連絡船は、原因不明のトラブルにより、第五惑星より先に進むことができなくなっていた。

「第四惑星行きの復旧の目処はたっていないのですか?」山際はカウンターの女性に聞いてみた。
「はい…申し訳ございません。現在、原因を究明中ですが、何分このような事は初めてなものでして」
これまで何度も繰り返したであろうその言葉を、彼女はいかにも申し訳なさそうに告げた。

原因不明のトラブル。しかし山際は確信した。そのトラブルの原因が何であれ、あいつが関わっている事には違いない。
「また今回は派手にやらかしたな…」そう山際はつぶやくと、ボードで音声通信を開始した。
「もしもし。山際です。お久しぶりです。ご無沙汰しております。ええ、はい、そうです。その件で、はい。え、出る?五時間後。はい、はい、どうも。お世話になります。それでは後ほど。奥様にもよろしく」

「これで第五惑星から第四への移動手段は確保できた。さて、あとはあちらがどう出るか…」山際は、更に憂鬱な表情で顔を曇らせると、惑星間連絡船「さわら」に乗り込んだ。

三時間後。星間連絡船は第五惑星のターミナルステーションに到着した。
第五惑星は、いつ来ても美しい惑星だ。その環境は地球のそれとほぼ同じである。水が豊富で緑も豊かな星だ。「エメラルド」という愛称がつけられたのは当然といえる。
「これぞ、中洲玄界灘重工の傑作だよ」山際は目の前に広がる大海原と、対比するように輝いている居住区の建物を見比べながら、その美しさに思わずため息をついた。
山際はステーションに程近い海辺のカフェで、エメラルド産コーヒーを味わいながら、この「傑作」を眺めていた。元々、第五惑星は氷に覆われた冷たい星だったのである。

落日にはまだ間があったが、空には二つの月が白く浮かんでいた。
「ああ、こんな時間がずっと続いたらいいのに」山際は心の底からそう思った。今だけは、これから起こるであろう事をなるべく考えないようにしたかった。
しかし、その願いもむなしく、約束の時間はやってきた。
音声通信からきっかり五時間後。山際の前に、ニットキャップをかぶった浅黒い肌の男が現れた。鋭い眼光は、彼が凄腕の”船乗り”であることを無言で物語っていた。

「山際さん、お久しぶり」「ミナミさんもお元気そうで何よりです」
二人は再会の握手を交わした。
「今はどの辺りを?」「いや、そのときそのときによって違うがね。今回はたまたま近くにいたんだ。山際さん、ラッキーだったよ」
ラッキーか…。残念な事に、この男”ミナミ”と仕事をする時は決まってロクでもないトラブルに巻き込まれる時なのである。それだけ頼りになる男とも言えるのだが、この男にしか任せられないような仕事というのは、山際にとっても気の滅入る仕事なのだ。
「で、今回の件なんだが…」
「第四惑星との間を強行突破するしかねぇな」
「頼めるか?」
「俺に出来ないクルージングが一度でもあったかい?」
「その後、連絡船の会社が発表したレポートによると、どうやら周囲に張り巡らされた時空のねじれにより、第四惑星との中間地点に達した連絡船は第五惑星付近まで戻されてしまうらしいが」
「そこでだ」とミナミはなにやらポケットから出した。板のガムである。それをぎゅっとひねるとねじれた平面が現れた。
「この空間。ここに隙間ができてるだろ。おそらく奴の作ったねじれにもこれに相当する部分がきっとある。そこを抜けるんだよ」ガムの作るねじれた空間には針の穴のような小さな隙間ができていた。
大型の星間連絡船では難しいが、ミナミの船ならなんとか通れるらしいという事だった。
「だが、送るのはそこまでだ。第四惑星に到着したら、おれはいったん上空に戻り待機する。あとはお前さんの腕次第だ。」ミナミはにやりと笑うと、手元に握っているスイッチを押した。
と同時に、海を割って、ミナミの船「福良丸」が目の前に現われた。
「さぁ、さっさとあのアホの面に一発お見舞いしにいこうぜ」
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by denjiroo | 2010-07-26 22:53 | 製作  

妄想漫画シリーズ1:惑星デジャブ

相変わらず脳内連載は続いているのだが、最新作が脳内で始まったので一つ書き出してみることにする。同時進行で絵の方も描いているけど、妄想の早さの方が早く、連載が終わってしまいそうなので書き留めておこう。いつ打ち切りになるかわからないけれども。
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「惑星デジャブ」

 

 最初に本格的な地球外移住計画に乗り出したのは中国だった。
どんなに一人っ子政策をとっても増えすぎた人口を抑えることはむずかしかったが移住することにかけては驚異的な適応性があった。
大気コントロール技術を開発したのは日本だったが、月面コロニーが作られてから、月に中華街が出来上がるまでにそう時間はかからなかった。
インドからの移住者も爆発的に増えていった。月面でもインド式計算術を身に着けたインド人技術者は大量に必要とされたからである。したがって、月面コロニーでも日本人技術者はラーメンとカレーに不自由することはなかった。
本格的な宇宙時代の幕開けであった。
しかし、その当時、それ以上遠方に移住することは技術的に不可能と思われた。
ワープ航法の非実現性は二十世紀後半にはすでに証明されていたからである。
したがって、月を中心としていかに周辺勢力を握るかが、各国の重要課題となった。
ところが、その限界はあるとき、あっさりと打ち破られた。

 西暦205×年。東京都北区赤羽に、二人の物理学者が住んでいた。一人はボブ加藤という日系アメリカ人で、もう一人は田中数則といういずれも30代独身男性だった。
彼らは1LDKのアパートに一緒に住んでいた。別な大学の別な研究室に所属していた二人だったが、家賃を節約したいという思いで意気投合したというのが建前だった。本当の理由は別にあるらしいという噂だったが、どれも憶測の域を出るものではなかった。

事件が起きたのは5×年の春の、夜十二時頃である。
いつものようにボブがお気に入りフィギュアに向かってにやにやと話しかけていると、突然、カップラーメンを持った田中がボブの方に向かって飛んできた。
正確には、中途半端にあいた襖に足を引っかけた田中が思い切りつんのめったのだった。
田中はその場に踏みとどまったが、ラーメンは宙を舞った。
ボブの優れた頭脳はラーメンの軌道がお気に入りフィギュアに確実に向かっていることを計算した。
そして、予測される悲劇を回避する一番の方法をボブはすぐに実行した。
手刀をラーメンカップにヒットさせ、垂直方向に軌道を修正させたのである。
更に「オレの嫁にナニをするんだ」という罵声をつけくわえることも忘れなかった。
彼はそういった面においてもエキスパートだった。

悲劇は免れた。

 思いがけない出来事で夜食を失った田中は、しばらく、畳の上に転がるラーメンの残骸を呆然と見つめていた。だが、やがて、雷に打たれたかのように叫びだした。
「ボブ!すごいぞ!僕たちはエンタープライズ号に乗れるんだ!」
一瞬、何が起きたのか全く分からない様子だったボブだったが、田中が興奮しながら話す言葉を聞くうちに、田中がとんでもないことを発見したことに気づき、彼もまた声を荒げた。
「オレの嫁が百万光年先で待ってるゼー!」
二人は思わず外に飛び出し、大声ではしゃぎまくった。

「うるせーぞ!今何時だと思ってるんだ!このスットコドッコイ!!」
近所のアパートの二階からバケツの水を浴びせられたのはこの直後である。

画期的なエネルギー推進装置「田中加藤式星間移動システム」が完成したのはそれから五年後の事であった。

それから四十数年後。
山際達郎は、星間連絡船「YACHT―ARROW」のエコノミークラスで、手元の資料を眺めていた。
「田中星系第4惑星:システムの特徴と対策」ディスプレイにはそう表示されていた。
山際はこれからこの田中星系にある宇宙ステーションで下船し、惑星間シャトルで第四惑星に向かう予定だった。移住者が快適に生活できるよう惑星の環境を調整しているメインシステムのメンテナンス作業を行うのが彼の仕事だった。

田中星系は、恒星間移動システムを開発した田中博士にちなんで名づけられた、太陽系によく似た惑星系である。
第二次宇宙移住計画の比較的初期に人類が移住し、独自文化も形成されていた。
大気コントロールは人類が住むのに最適な状態に設定されていたが、あまりいじくり過ぎず、ある程度、自転などによる影響は残しておく、というのがシステム開発を行った「中州玄界灘重工」のポリシーだった。
それは強制的に環境をコントロールするよりも、自然にやさしいからという考えからきているようだったが、「そもそも、大気組成がまるっきり違っていた惑星をいじくっている時点で自然にやさしくないんじゃないか?」と山際の脳裏に疑問がよぎることはしばしばだった。
山際は「中州玄界灘重工」の社員である。入社十年目だ。

どれぐらい時間が経ったろうか。ふと気づくと、窓の外に田中星系の中心、「タナカ星」が光り輝く姿が見えた。特殊航行が終わり、船は田中星系の宇宙ステーションのすぐ近くまで来ていたのだ。
通常航行でゆっくりと宇宙ステーションに近づくとやがて鈍い衝撃が走った。
それで、無事到着したことが山際にもわかった。

宇宙ステーションにドッキングした「YACHT-ARROW」号のハッチが開かれ、乗客は次々に乗り換えブースへと急いだ。
いつも通り、惑星間連絡船に乗れば地球時間で十時間ほどで到着するはずだった。
ところが、見慣れたはずの駅の様子は何やらあわただしかった。

「只今停船しております惑星間連絡船「さわら」は、第五惑星直通となります。第三惑星、第四惑星にはまいりません。ただいま折り返し運行を行っております」
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by denjiroo | 2010-07-26 14:46 | 製作  

息子の前歯 おかしな連続 

昨日の夕方、歯医者で会計を済ませていたら、予約日を一日間違えて、前日に来てしまっていた中学生位の男の子がいた。
そんなこともあるんだなぁと思っていたが、まさか、今日、うちの息子も同じことをやってしまうとは。
完全に私の思い違いでした。

初めて、一人で受診から予約までやってきたのですが、「お母さん、一日早かった!明日だった」と。

そこで、昨日の子を思い出して話してみた所、医師の方でも「また?」と笑っていたらしい。
無事、前歯は入りましたが、来週もう一度受診してなんぞするとのこと。
治療方針は前回聞いて確認しているので、次回も一人で平気でしょう。
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by denjiroo | 2010-07-21 14:46 | 日記